イメージは、藤井兄弟「F-BLOOD」の歌です。私はこれを南郷さんの歌だと言いたい。
元歌はこちら。太陽の唄 F-BLOOD 歌詞情報 - goo 音楽
本当に拙い文章というより歌のまんまですが、よろしければご覧ください。
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日曜の朝、いつもより遅く起きる幸せ。
俺は、布団の中で大きく伸びをして、体を起こす。カーテンの隙間から差し込む日差しが眩しい。
窓に近づいてカーテンを開けると、夏の日差しが部屋いっぱいに入り込んだ。
一週間分の汚れ物と布団カバーを洗濯機に放り込み、その間に簡単な朝飯を食べる。
窓から見えるトタン屋根の上に、野良猫があくびをしながら寝転んでいるのが見え、この日差しの中で暑くないのだろうかと、人ごと(猫ごと?)ながら心配になってしまう。
その向こうに見える瓦屋根の隙間には、銭湯の長い煙突が煙を出していた。休みだから早く焚いているのだろう。
終わった洗濯物を、窓辺いっぱいに干す。今日はこれだけいい天気だから、すぐ乾いてくれそうだ。
洗濯物でいい感じに日影ができた窓辺が、最高に気持いい場所になっている。
いい風も入ってくるし、洗濯物が乾くまで、先日買った本でも読もう。
本の内容は、風来坊な男の旅物語。そんな話のせいか、ふとアイツを思い出す。
しばらく会っていないが、元気でやっているのだろうか。
相変わらず無茶ばかりしているのだろうか。
まあ、何を言ってもアイツはアイツのままなのだ。とにかく生きていてくれれば、たまに顔を見せてくれればいい。
本を半分ほど読み進めたところで止め、俺は玄関のつっかけを履き、買い物に出た。
夏の日差しはジリジリと暑いが、風が爽やかで気持ちがいい。
商店街までの道すがら、その気持ちよさに鼻歌が出る。
何だか今日はとても気分がいい。なにかいいことが起きそうだ。
こんな日は、アイツが来てくれればいいのにな…なんて、ちょっと恥ずかしいことを思ってみたり。
自分の考えに照れくさくなって頭を下げると、足元で蟻たちが餌を抱えて連なり、ブロック塀を登っている。
手を取り合って生きる人間と同じで、こいつらも協力し合って生きてるんだな。
俺も普段、たくさんの人達に支えられて生きている。もちろんアイツもその一人。
いつもより少し多めに買い物をして家に戻ると、洗濯物はすっかり乾き、風にそよいで踊っている。
それを全部取り込み、その場所に今度は布団と座布団を干す。今日はいい気分で眠れそうだ。
窓の下に置きっぱなしの植木鉢の花も、うららかにほころんでいる。
ふと、あの声に名前を呼ばれた気がして、顔を上げる。
「……よう、元気そうだな」
「アンタもね」
予感というものは、けっこう当たるものだ。
俺はアイツを部屋に迎えるために、部屋の扉を開けた。
END